ホーム 過去のマガジン記事 男のローカルひとり飯: 第2回 くいてぇクイティウ

カンボジアクロマーマガジン41号

 

 プノンペンで最もポピュラーな麺料理は細い形状の米麺のクイティウだろう。そして、クイティウと言えば、その独特の歯ごたえにこそ魅力がある。しかし、温かいスープの中では麺が直ぐに伸びてしまうので、通としてはクイティウを食べる際には「秘技・天地返し」をマスターすることをお勧めする。ジロリアンの間で密かに伝承されていたこの技がまさかカンボジアで陽の目を見るとは、25年にも及ぶジロリアン歴を有する筆者としても非常に感慨深い。

 まずは、こちらで供される付け合わせのもやしの他、ちぎったノコギリコリアンダーやタイバジルを投入。麺を下から引き上げ、これらの上に置き、可能な限りスープから出してしまうことで麺の伸びを食い止めつつ、同時に香草類に適度に火を通すと言う秘技だ。

 天地返し完了後、ほんのりと魚醤が効いた柔らかな甘みのあるスープを味わいながら、具材である豚のバラ肉、レバー、小腸などの様々な部位を別途供される海鮮ソースとチリソースのミックスされたタレにつけて楽しむ。

 その後、ライムを絞り入れた上旨味とスパイシーな辛味の効いたサテを加えて味わいの緊張感を高めたスープと鼻に抜ける鮮烈な香りの香草類を噛みこめば、それはまさに至福の相性。香草を麺に入れるのはカンボジアではそこまでメジャーではなく、ベトナム系の影響かと思われるが、やらない理由はない位鉄板の組み合わせだ。

 麺を食べ尽くした後は、器に残った挽肉やネギそして香草類をスプーンに集め食べ切るという最後の最後の余韻まで大満足できる一品。これが何時でもまた食べたくなるクイティウだ。

 

カビト Kabito
住: No. 135, St. 19, Phnom Penh
Tel: 012-823804
<本日のひとり飯> クイティウ(サッチュルーク) 6,000リエル

井之原 四郎

孤高のフーディーを自称するフードライター。食べ物である限り食べられない物はないというのが信条。ベトナムスケッチ連載の「男のローカルひとり飯」(2011年11月〜2014年6月)等、執筆多数。

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