ホーム 過去のマガジン記事 クメールロック・ア・ゴーゴー!: 第1回 カンボジア、謎のソーラン・ロック

カンボジアクロマーマガジン40号

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 60-70年代のミュージシャンを中心に、イカしたクメールロックを紹介するこのコーナー。記念すべき初回に取り上げるのは、70年代はじめごろカンボジア国営ラジオ局のDJも務めた女性シンガー、フオイ・メアスの楽曲『Oun Prom Smak』(信じるわ)だ。この曲は聴いてビックリ、なんとカンボジア版の「ソーラン節」なのだ!

 

 北の海原でソーランソーランと声を合わせてニシンの網を引く、男の労働歌『ソーラン節』。対して『Oun Prom Smak』で歌われるのは、意中の彼への恋心だ。曲はやたら歯切れのいい「ハイ!ハイ!」のかけ声(男)から始まり、イントロや間奏はバンド全体でキメキメ。テンポも早めで実にチープかっこいい。この生まれ変わった北海道民謡、カンボジア国営ラジオで流していたのなら、親近感がハンパないぞ。

 

 それにしても気になるのは、フオイ・メアスがなぜ「ソーラン節」を知っていたのか。この曲のリリースまでに日本で出ていたソーラン節音源は、①普通に民謡をまとめた音源、②ザ・ピーナッツの「ピーナッツ民謡お国めぐり」(1960)、③The Staple Singers の「Solon Bushi」(1970)、④ザ・フォーク・クルセダースの「帰ってきたヨッパライ」のB面(1967)の4つだった。聴き比べると、曲の構成や雰囲気的に、あくまで推測ながらザ・ピーナッツが正解のような気がしてくる。エミちゃんユミちゃんの5歳年下のフオイ・メアスちゃんに、どこで知ったんそれ?と聞きたい。

“Oun Prom Smak” (by Huoy Meas)
https://www.youtube.com/watch?v=Xgw2k-kdLTY

周防 周大(すおう しゅうだい)

カンボジア在住を機にクメールロック・ポップスの魅力に出会う。尊敬する人はシン・シサモット。好きな女性のタイプはロ・セレイソティア。

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