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カンボジアクロマーマガジン25号

プノンペン ナイトウォーカー Phnom Penh Night Walker

[文・写真] 多賀 史文  [制作] 安原 知佳 クロマーマガジン編集部

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急速な経済発展に沸くプノンペン。
一国の首都として国際的な認知度を高めながらも、その夜の姿はあまり語られることがなかった。
今、一体そこにはどんな夜があるのだろうか。
その姿を伝えるべく、私はプノンペンの夜の街へ繰りと出した。

注意:この記事は、夜の街歩きを促すための作品ではありません。現実問題としてプノンペンでは外国人に対する窃盗、強盗、暴力事件なども多発しています。移動時は信頼できる乗り物を利用してください。またこの記事から発生した事件等に関し、当編集部では一切責任を持てませんので、予めご了承ください。

夜の街へ

昔、この地がチャトモックと呼ばれる湿地帯だった頃、貴婦人ペンがメコンの岸辺に流れついた一体の仏像を拾った。信心深いペンは川の畔の丘の上に、その仏像を安置するための寺院を建立した。それから五世紀、今でもその寺院は街の象徴として崇められ、この街を見守り続けてきた。
そして今晩も、その白い仏塔は、夜空にギラリと輝くビルの陰で、ぼんやり佇んでいる。

 

世界で最も貧しい国の一つとされる王国、カンボジア。人々は日々牛を追い、田畑を耕しながらも、作物の生育は天候に委ねている。ただ仏を尊び、神に祈り、祭を奉げることで精神を充足させる。その多くは農業を営み、質素で素朴な暮らしを営んでいる。他の世界を知らなければ、それなりに充実した生活がおくれていたことだろう。そんな中、首都プノンペンは、目覚しい経済発展に熱狂しはじめている。空には高層ビルが続々と出現し、通りはバイクや車で溢れ返り、スーツ姿のカンボジア人が街を行き交う。若者たちは小洒落たファッションに身を包み、自由を謳歌している。

 

多くの外国人が、ビジネスや観光目的でこの地を訪れるようになり、外の世界と意識がこの街と人々に自然と入り込んできている。街の心臓セントラルマーケット、煌びやかなや王宮、悲劇の時代を語るキリングフィールド、次々と姿を現す高級アパートとショッピングモール。日中の街の姿は広く知られるようになり、多くの人々が談笑しながら闊歩している一方、夜の街については「出歩いてはいけない」と人々が口をそろえて言う。それは長きに渡って続いた内戦終結*1の混乱に乗じて、この地が強盗、麻薬、売春といった犯罪の巣窟となったからである。

 

今後一層の経済成長と、世界各地から人々が移り住んでくる街、その夜には何があり、何が起こっているのだろうか。私は闇夜に耀うプノンペンの街へと繰り出した。

*1カンボジア内戦…1970-1992年頃を指す。

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