カンボジアクロマーマガジンPP17号
1月23日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、年次会議を開催しました。会議では、2025年の実績と2026年の活動計画が議論されました。
2026年の経済予測については、GDP成長率は5.0%、消費者物価上昇率は2.3%としています。その上で、関税等による世界経済の不確実性、タイとの国境紛争等の地政学的要因、国内の建設・不動産不況がリスクとなっているとしています。
銀行セクターについては、2025年末の貸付残高は対前年末比4.1%増の630億ドル、預金残高は14.7%増の657億ドルでした。不良債権比率は、銀行が8.9%、マイクロファイナスが8.6%となっています。チア・スレイ総裁は、「強力な資本と高い流動性が見られ、銀行システムは依然として強靭であり、国民の信頼を維持し続けている」と述べています。
海外からの直接投資の流入額は、2025年は対前年比18.2%増の52億ドルに達しました。製造業向け(50%増)に支えられた一方、不動産向けは23.2%減と大幅減少でした。国別では、中国が73%を占め、圧倒的でした。
トランプ関税の逆風の中で健闘した輸出や直接投資に支えられて、2025年末の外貨準備は対前年末比22.3%増の275億ドルに増加しました。これは、輸入の8か月分に相当し、途上国としては非常に安定的な水準にあります(基準は3か月以上)。
トランプ関税、タイとの国境紛争、不動産不況、特殊詐欺等の課題に直面しているカンボジア経済ですが、中央銀行の銀行監督やデジタル化の推進によって、金融セクターは健全性を維持しているものと見られます。引き続き地道な努力が継続されていくことが期待されます。
鈴木 博 CEO/チーフエコノミスト
カンボジア総合研究所(BRIC)
Business Research Institute for Cambodia
カンボジアの発展と日本企業のWin-Win関係の構築を目指して、経済関係調査、情報発信等を行っています。
Web: https://cambodiasoken.hatenablog.com/
『カンボジア経済』 BLOG: https://economistphnompenh.hatenadiary.com/
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