カンボジアクロマーマガジンPP13号
カンボジア経済には4つのエンジンがあると言われています。第1は、縫製業・製靴業等の労働集約型の輸出志向型製造業です。低賃金を活かして、主に欧米向けの低価格品(衣料品・靴・旅行用品等)を製造・輸出しています。また、2010年以降、日系企業による労働集約型部品産業の直接投資も増加してきています。第2は観光業です。新型コロナの影響を最も厳しく受けましたが、回復の途上にあります。第3は不動産・建設業です。外国資本(主に中国)による高層ビルやニュータウンの建設も進められていました。しかし、中国の不動産不況の影響で、カンボジアでも未完成物件が数多く取り残されている状況です。最後は農業です。まだ生産性は低いものの、コメを中心として、ゴムやキャッサバ、コーヒー、カシューナッツ等の商品作物の生産・輸出も好調です。
こうした中で、カンボジア政府は、将来的な目標として「イノベーション産業」を振興したいとしています。カンボジアのような途上国では、最新の技術を一気に導入して先進国に追いつき、追い越していく「リープフロッグ(蛙飛び)現象」が見られることがあります。カンボジアでは、世界に先駆けて実用化した中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン」、モバイルバンキング、電子支払といったフィンテック分野やデリバリーや配車サービス等で、日本等の先進国よりも便利で安価なサービスが提供され、普及しつつあります。こうした新たなサービス産業が、第5のエンジンとなってカンボジア経済を牽引していくことも期待できるようになってきています。
鈴木 博 CEO/チーフエコノミスト
カンボジア総合研究所(BRIC)
Business Research Institute for Cambodia
カンボジアの発展と日本企業のWin-Win関係の構築を目指して、経済関係調査、情報発信等を行っています。
Web: https://cambodiasoken.hatenablog.com/
『カンボジア経済』 BLOG: https://economistphnompenh.hatenadiary.com/
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