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カンボジアクロマーマガジン3号

なんかいいとこ、バッタンバン

[取材・文] 多賀史文 [写真] 多賀史文  [制作] 多賀史文

 

 カンボジア西部バッタンバン州、緑豊かな穀倉地帯。ここは以前より西洋人旅行者の間で密かに人気の渡航先になっているが、日本人で訪れたことのある人はそれほど多くはないのではないだろうか。彼らはなぜバッタンバンに行くのであろう、そしてそこで何に出会うのであろう。今回はバッタンバンで活動している人たちに、バッタンバンの面白さについて尋ねてみた。ようこそ、バッタンバンへ。


バッタンバンのツーリズムについて

バッタンバンはカンボジアが顔を見せてくれるところなんだ

(左)モリソンさん Mr.Morrison   アジア各国の風土や文化にインスピレーションを受けた作品を創り出すアーティスト。
(右)ロバートさん Mr.Robert   フランス料理や東南アジア諸国料理を研究・紹介しているフォトライター。

コロニアル建築の街並みに佇む小さな宿「Bric-a-Brac」は、泊まるだけでなく、街の魅力を知るきっかけになるスポットとして、旅行者たちの間で評判だ。オーナーは街でも有名なバッタンバン通の仲良し二人組。この街を愛し、また愛されるお二人に、バッタンバンの旅の魅力について語ってもらった。

 

お二人はなぜバッタンバンへ?

モリソン 僕たちはシドニーから来たんだ。二人とも東南アジアが好きでね。その中でも、ゆっくり人生を楽しむにはカンボジアは良いところさ。僕はこのホテルを経営する傍らでアート作品を作っている。ロバートは料理の研究と物書きに勤しんでいるんだ。

ロバート なぜバッタンバンかという理由は幾つかあるね。ひとつはここがバンコクやプノンペンの様な街へ行くのに便利な場所だから。ひとつはコロニアルの美しい街並みを気に入ったからだね。一番の理由は、バッタンバンは本当のカンボジアの良さを感じられるところだからさ。

モリソン プノンペンは政治と経済の街、シェムリアップは観光の街で、どこか余所行きな感じがちゃってね。バッタンバンはカンボジアが素顔を見せてくれる所なんだ。田園風景、文化、芸術。どれも素朴だけど、すごくこの国らしさに溢れてる。それでここに僕たちの新しい家を構えることにしたのさ。

 

バッタンバンは日本人旅行者にはあまりメジャーな地域ではないのですが、西洋人を多く見かけますね。彼らはどうバッタンバンを楽しんでいるんですか?

モリソン うーん、バッタンバンは幾つか古い遺跡もあるし、コロニアル建築の街並みはこじんまりしているけど、カフェやギャラリーがあって、のんびり歩きながら散策するのにはうってつけのところだよね。宿泊施設もなかなか個性的なものが多いし、食べるものも結構充実しているよ。

 でも大体の旅行者は2~3泊だね。僕は1週間くらいいることをお勧めしたいよ。

ロバート 1週間は流石に長いかもしれないけど、それわかるよ。バッタンバン滞在のポイントは「旅の休息」。シェムリアップやプノンペンでの滞在は刺激的だけど、皆結構疲れてる。バッタンバンではせかせかしないことが大切さ。朝はすっきり起きて街をぶらぶらして、遺跡や寺院に行ってゆったりと流れる時を感じるのも好し。昼ご飯を食べたら昼寝して、夕涼みをして、日が沈んだらバーで飲んで、でも10時には寝ちゃう。

モリソン そうそう、バッタンバンに来る際は、ボートで来るのも良い。水辺の景色はなかなか見ものだよ。鉄道も運行を再開したしね。そんな感じで過ごしていると、この国の本当の良さが見えてくるんじゃないかな。

 

バッタンバンの魅力をまとめると?

ロバート まずは建物。ここまで手付かずで古いコロニアル建築が残っているのは、珍しいことさ。それからアート。若い人たちが切磋琢磨している。そして都市のこじんまりとしたスケール感だね。もちろん人も良いよ、皆お互いに親切でこの街を好いてる。

モリソン 誰かが僕に聞くんだ「バッタンバンを好きかい?」ってね。そうしたら僕はしかめっ面でこうこたえるのさ。「いや、好きじゃないね。愛してる。」ってね。それぐらいこの街を気に入ってるよ!

 

(左)植民地時代の街並みが色濃く残るバッタンバン。ローカルの人たちの生活が垣間見れ、散策するのが楽しい。
(左中)街には夕方ごろから屋外のテラス席でくつろげるお店が複数。どこもお洒落で、ノスタルジックな雰囲気を味わえる。
(右中)シェムリアップ⇔バッタンバンはボートに乗って移動可能。所要時間は水量によって6~10時間とゆったり旅を愉しめる。
(右)最近カンボジア鉄道北線の運行が順次再開されている。プノンペン⇔バッタンバン区間が開通するのもそう遠くないかも。


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