ホーム 過去のマガジン記事 男のローカルひとり飯: 第4回 ローカルライスでローカライズ

カンボジアクロマーマガジン43号

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 通たる者、ローカル朝飯でお気に入りのバイサエックチュルック(豚肉ご飯)の店の1店舗や2店舗は当然押さえてるものだ。当店もありふれた屋根無しの路上店だが、個性と主張のある一品を提供している。まず、肝心の炭焼き豚肉も一般的にありがちなカチカチの仕上がりではなく、適度な弾力を保っている点で好感が持てる。また、豚肉の味付けも醤油ベースの甘辛い仕上がりでどことなくホッとする味わい。よくある魚醤とニンニクベースのタレはなく、当店なりの味わいのバランスに対するこだわりが感じられる。オプションの目玉焼きはマスト。とろとろレアーな仕上がりで流れ出す黄身と豚肉との相性が抜群。カンボジアの醤油をかければ、さながら豚肉の旨みの加わった卵かけ御飯のように感じられる。サルモネラ、、などと言ったキーワードが頭をかすめないこともないが目の前の美味しさの誘惑には勝てない。なお。備置きのチリソースは、豆板醬的な味わいなのに加えて、甘みもしっかり追加されていてこれまた個性的。そして、確かに豚肉との相性がこれまた良い。

 付いてくるスープは香草に加えてライムまで入っていてだいぶ塩分と酸味が立った味わい。そこに無意識に砂糖を加えてバランスを取ろうとしている自分をふと客観的に見て何ともローカライズしてきたなあ等としみじみ感じたり感じなかったり。

 時折、ニンニクと生姜の効いたきゅうりと人参の漬物で気分を変えながら食べ進めればものの数分で完食だ。ひっきりなしに訪れるローカル客の数を見て、クメール化してきた自分の舌に自信をみなぎらせて店を後にした。

 

店名なし
住: St.456とSt.123の角, Phnom Penh
時:6:00~10:00頃まで
<本日のひとり飯> 豚肉ご飯: 4,000リエル

井之原 四郎

孤高のフーディーを自称するフードライター。食べ物である限り食べられない物はないというのが信条。ベトナムスケッチ連載の「男のローカルひとり飯」(2011年11月〜2014年6月)等、執筆多数。

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