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カンボジアクロマーマガジン20号

絵で見るカンボジア近現代史 with キーワード20

[文・イラスト]矢羽野 晶子[クロマーマガジン編集部]

 仏領カンボジア(1863~1953) 

主権:フランス(インドシナ植民地政府)

タイ、ベトナムの二重支配から逃れるためフランスの保護国化を要請 

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 1863年、フランスの保護国となったカンボジア。当初はシャム、ベトナムの支配から逃れたと安堵していたものの、フランスは次第にカンボジアに対する植民地政策を強化していった。そして1884年のフランス・カンボジア協約で、カンボジアの主権を全面的に抹消し、カンボジアは仏領インドシナの一部となる。王室は保たれていたものの、伝統的な秩序や地方行政組織は破壊された。また、役人にベトナム人を登用する間接統治法がとられ、次第にフランスへの反感が高まっていった。
 そんな中、1941年、わずか18歳で王位についたノロドム・シハヌーク国王は、国際世論に訴えて積極的に独立運動を展開していった。そして1949年に限定的独立、1953年には完全独立を勝ち取った。

 

[キーワード3]仏領インドシナ

1887年に成立したフランスによるインドシナ地域の植民地。領域は現在のベトナム、カンボジア、ラオス。首都ハノイ。1954年解体。

[キーワード4]ノロドム・シハヌーク

1922年生まれ。カンボジアの元国王、政治家。フランスの植民地支配から独立を勝ち取ったことから、「独立の父」と呼ばれる。国王、大統領、首相、国家元首など様々な役職を歴任。2004年に王座を退き、政界からの引退後も国民に絶大な支持を誇っていた。2012年10月15日逝去。

 

 

カンボジア王国(1953~1970)

国家元首:ノロドム・シハヌーク
政治:王政(仏教)社会主義
外交:非同盟・中立

 カンボジア、悲願の独立を達成 中立外交による平和な「シハヌーク時代」

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 カンボジアが独立国となってから、シハヌークは王位を父に譲り、政党「社会主義人民共同体」を結成して自ら総裁に就任。本格的な政治活動を開始した。総選挙では全議席を制すという圧倒的支持を獲得して「シハヌーク時代」が幕を開けた。1960年代に入るとベトナム戦争が始まったが、中立外交を展開していたカンボジアは食糧も豊富で比較的平和であった。
 しかし1965年、戦火が激しくなる中、カンボジアは北ベトナムを支持し、南ベトナムを支援するアメリカと国交断絶。68年には米軍の空爆を受けるようになり国内状況が緊迫した。また政界も右派と左派の対立が絶えず、混乱。そんな中、1970年、シハヌーク外遊中に親米派のロン・ノル首相が軍事クーデターを起こしてシハヌークを追放。共和制の「クメール共和国」を樹立した。

 

日本軍による「幻の独立」

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 カンボジアは完全独立を果たす前に一度、「幻の独立」をしている。太平洋戦争下、日本軍は中国大陸や東南アジアの植民地を次々と占領し、日本占領下での独立政権を樹立していった。仏領インドシナにおいては、1941年に進駐し45年に植民地政府を武力解体(仏印処理)、カンボジア含むインドシナ三国を独立させた。しかし同年8月、日本がポツダム宣言を受諾し敗戦すると、フランスはこの独立を認めず、第一次インドシナ戦争に繋がった。

 

[キーワード5]社会主義人民共同体 

1955年にシハヌークが結成した政党。通称サンクム。仏教保護と王制主導による社会主義(王制社会主義)を謳い、外交では非同盟・中立の立場をとった。

 [キーワード6]ベトナム戦争 

1960年に始まったベトナムを舞台にした戦争。ソ連、中国など社会主義国が支援する北ベトナムと、アメリカなど民主主義国が支援する南ベトナムによる戦い。カンボジアではシハヌーク時代は北ベトナム寄り、ロン・ノル時代は南ベトナム支援の立場をとった。1975年、北ベトナムが勝利を収めて終結した。 

[キーワード7]米軍による空爆

ベトナム戦争の激化に伴い、カンボジアも戦火に巻き込まれていった。特にロン・ノル政権下では広域で激しい空爆にさらされ数十万の市民が犠牲になり、農業インフラも破壊されて、深刻な食糧危機を招いた。 

[キーワード8]仏印処理 

1945年3月、日本軍が「明号作戦(仏領インドシナでフランス軍を攻撃し制圧した作戦)」を発動。これにより、仏印三国(ベトナム、カンボジア、ラオス)を武力解体し独立を宣言させた。 

[キーワード9]第一次インドシナ戦争

ベトナム戦争の激化に伴い、カンボジアも戦火に巻き込まれていった。特にロン・ノル政権下では広域で激しい空爆にさらされ数十万の市民が犠牲になり、農業インフラも破壊されて、深刻な食糧危機を招いた。

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