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カンボジアクロマーマガジン18号

~淡水魚のある暮らし~クメール食探訪

[取材・文・写真・制作] 徳成 和子、西村 清志郎(クロマーマガジン編集部) マレーシアフリーペーパー「セニョ~ム」2010年3月号より一部改訂

屋台で味わう素朴な家庭料理

午前11時頃から賑わいを見せ始める屋台には、トンレサップでとれた雷魚など、「トンレサップ湖の幸」をメインに様々な料理であふれかえる。店先には大鍋いっぱいに満たされた料理の数々が所狭しと並べられ、周囲には同様の屋台が数軒連なる。料金は種類によるが、一皿あたり2000リエル程度から。同様の料理を除くと、およそ50種類から好きな料理をチョイスできる。小さな屋台は、家庭の味を求めて通う人たちでいっぱいとなる。

vol18_sub_06-01            カンボジアの川、湖、森、山から採れた自然の恵みがそろった屋台料理

 
 内戦後からずっと営業しているサロン姿の女性によると「魚と鶏の炭火焼はお客さんの前でジュージュー焼く。それから常連のお客さんが飽きないように定番メニュー以外は毎日変えること」が人気の秘訣らしい。
 朝の準備は6時から、片付けは夜10時を過ぎる。必要経費を差し引くと売上は知れているが、毎日通ってくれるお客さんのことを考えるとそうそう値上げも出来ない。「別の仕事を考えたこともあるけれど、お客さんの『チュガンニュ(おいしい)』の言葉を聞くと辞めることができないわ」と微笑んでいた。

vol18_sub_06-02           最初は「おかず」として食べるが、終盤はスープ類を白米にかけて食べる

vol18_sub_06-03           職場の仲間と昼食中。おかず3品は皆でシェアする

みんなでおかずを分け合う食習慣

食事に重点をおくカンボジアでは、「ごはんもう食べた(ニャンバイハウイ)?」が挨拶の言葉にもなるほどだ。挨拶を交わし、そして気軽にお互いの食卓に誘い合う。
 招かれた先では、カンボジア人家族の人数の多さに驚く。祖父母に両親、子供3人の他には従兄弟達数名が集まり、一つの家に10人以上で生活していることも珍しくない。
 最近になり都市部ではテーブルを持つ家庭も増えたが、まだそれほど多くはない。一般的には床の上に直接4~5種類の料理を並べ、家族みんなで大皿に入った料理を囲む。炊きたてのご飯とプロホック付き生野菜は必須、他に卵焼き、焼き魚などシンプルなものと、メインとなるおかずが2品ほど。それにスープがつけば、できあがり。料理の味付けは、自然の素材を活かした素朴な料理が多い。

vol18_sub_06-04           高床式住居の軒下で昼食をとる家族

 誰とでも屈託なく食を楽しめる人々。その理由は国教である仏教の教えにあるのかもしれない。子供は両親や祖父母の面倒を見ることが当たり前であり、富ある者はない者の面倒を見る。田舎に住む貧しい家庭は、子供達に教育を受けさせるために、都市部に住む裕福な親族に預けることも多い。そうして大家族が自然に形成されてゆき、誰とでも一緒に食事を楽しむことができるようになる。
 食文化を通じてカンボジアを知る。みんなで一緒にご飯を食べる、ただそれだけのことで、この国の懐の深さやおおらかさ、微笑みの理由を垣間見た気がする。
vol18_sub_06-05           国教となる上座部仏教の僧侶たち。彼らは戒律として正午以降の食事はできないため、

           11時頃には食事を開始する

vol18_sub_06-06           一般家庭では雷魚の焼き物や塩魚入りのオムレツなども定番メニュー。

           どんな料理にもタレは欠かせない

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素敵なカンボジアに出会う小旅行へ―The trip to encounters unknown cambodia