カンボジアクロマーマガジン29号
カンボジアの消防と救急
消防車・救急車の世界博覧会
カンボジアには、日本、韓国、中国などの世界各国の中古の消防車・救急車があります。
これまで、たくさんの消防車や救急車が寄贈され、カンボジアは、まるで消防車・救急車の世界博覧会場。既に壊れてしまい修理されないものや、殆ど使われないまま放置されているものがたくさんあります。
また、車両はあるけど、中身は空っぽ。消防車にはホースが数本だけで、どうやって火を消しているのかいつも不思議ですがいつの間にか消えています。
救急車は、現場で傷病者をすぐに車内収容し、病院へ搬送するのが基本です。カッコよく言うとLoad &Go。
諸外国からの支援が潤沢なところでは、救助器具が揃っていたり、はしご車が配置されたり、医療器材が装備されたりしていますが、点検整備や取扱要領がしっかり指導されていないため、とても危険。消防車の放水がデモの群衆に向けられることも。
命を救う道具が、命を奪う凶器になりかねないといつも思っています。
救急車には医師が乗っています
プノンペンの救急隊は、基本的に医師、看護師、運転手の3 名で構成され、救急車に医師が同乗するフランスのSAMU方式(カンボジアでは「サムイ」と呼ばれています。)を採用しています。
そのため、救急車内で病院と同じ処置ができるという、素晴らしい仕組みになっています。
しかし、カンボジアは悪路が多く、救急車には医療機材が殆どなく技術的にも困難なため、処置がなされないまま傷病者を病院に運ぶことが殆どです。
カンボジアの応急手当の不思議な習慣
カンボジアには、普通では考えられない一般市民による応急手当の習慣があります。
人が倒れている人がいたときはその人の上を3 回飛び越えるという風習や、やけどや傷に塗るものとして歯磨き粉、たばこ、しょうゆ、ガソリン、牛の糞などを使ったり。
このような不思議な習慣を払拭するためにも、一般市民に対する応急手当指導が不可欠だと感じています。
カンボジアには、保健衛生の国際協力にかかわる方がたくさんいらっしゃいます。
活動場所だけではなく、価値観や活動スタイルなどが異なることも多いのですが、同じような目的や活動に従事している人や組織が、チカラを合わせて課題解決に取り組むことができたらいいなと思います。