経済特別区(SEZ)
工業団地とは輸出加工産業の集積、雇用機会の創出などを目的に一定の区画の土地を工業用地として整備し、工場などを計画的に立地させた地域のこと。カンボジアでは工業団地(Industrial Park)のことを経済特別区(Special Economic Zone;SEZ)と呼んでいる。最近の中国での外資系輸出加工企業に対する政策変更や近隣国の人件費高騰、円高ドル安などの影響により、低廉な労働力を利用できる製造業、農業分野においてカンボジアへの投資進出が期待されている。また、カンボジアは地理的に、日系企業が多く進出しているバンコクとホーチミンをつなぐ位置にあり、特にプノンペンSEZ、シハヌークビルSEZは今後最も期待されるSEZであろう。
Contents
- 経済特区制度のための法制度
- 経済特区の運営組織
- SEZ進出のメリット
経済特区制度のための法制度
CDCの組織と機能に関する政令No.147(2005年)によりSEZ制度の管理運営のための組織である「カンボジア経済特別区委員会(CSEZB)」が設立され、同年「経済特区の設置と運営に関する政令No.148」が発布された。
カンボジアでの工業団地開発の歴史はまだ浅く、認可第一号はポイペット経済特別区(2006年6月認可)、稼動第一号はプノンペン経済特別区(2008年年8月稼動)である。現在まで22箇所の工業団地が認可されており、現時点で8箇所が稼動している。
経済特区の運営組織
CDC管轄下にある「カンボジア経済特区委員会(CSEZB)」は、経済特区の開発・管理・運営指導を担当する「ワンストップサービス」機関、「経済特区管理事務所」は各経済特区内に設置される「ワンストップサービス」機構であり、経済特区内に常駐させるためCSEZBにより設置される国家行政機構である。CDCに置かれる「経済特区トラブル解決委員会(SEZ TSC)」は経済特区で起きる技術的・法的な全ての問題や、複数の省庁にまたがりCSEZBと経済特区管理事務所の権限を越える全ての事項につき、早急な解決をはかる責務を負っている。また経済特区トラブル解決委員会は特区開発業者または特区内に立地する投資企業からの苦情を受け付け、解決策を見つける責務も負っている。
SEZ進出のメリット
製造業にとって生産活動のスムーズな開始と継続が至上命題である。SEZではすでにインフラ(電気、給水、排水、廃棄物処理など)が整備されており、また日々の生産活動に必要なカンボジア政府への役所手続き(通関、検量、原産地証明、労働許可など)をワンストップで処理してくれる事務所があり、進出企業は生産活動に集中することが出来る。
経済特別区外への進出はレンタル工場(貸し工場)の利用が主流となっている。土地、建物の権利関係を明確にしておくため不動産会社を仲介させることを推奨する。また通常の業務における役所との折衝を担当する自社スタッフの育成も必要であろう。