インフラストラクチャー
Contents
- 電力
- 水
- 通信
- 郵便
電力
2001年2月、電力セクターの規制のために電力法(The Electricity Law)が公布され、電力供給事業に関する監督・調整を行なう法的組織としてカンボジア電力公社 (Electricity Authority of Cambodia:EAC)が設立された。カンボジアの電力供給開発戦略は、大規模な発電施設を建設し、また発電所建設期間中は近隣諸国から電力を輸入するために、南部と西部地域の大都市間に送電線を建設することから成っている。
カンボジアの電力供給は基礎的な需要を満たしていない。地方では依然として24時間供給は保証されておらず、またその品質も信頼性に欠けるのが現状である。2007年のカンボジア電力開発計画によると、電力需要は2020年まで急速な増加を辿ると予想されている。
現状ではカンボジアの全所帯の22.7%(都市部では54%、農村部では13%)で電力使用が可能である。EDCは2020年までに全ての村で、また2030年までにはその他の農村地帯においても70%の地域に電力を供給する計画である。また増加する需要を賄うため、カンボジア政府は2008年から2021年に至る電力開発計画を策定済みである。電源の拡大に伴い送電線も建設中であり、また近隣諸国からも電力を輸入している。
水
水資源気象省(Ministry of Water Resources and Meteorology:MOWRAM)が水資源の開発及び管理を、地方開発省(Ministry of Rural Development:MRD)が地方における水の供給と衛生(Rural Water Supply and Sanitation:RWSS)をそれぞれ所管している。 一方、鉱工業・エネルギー省(MIME)は州都及び中・小規模の地方都市における飲料水の供給と、水道事業に参入する民間業者の管理・監督を所管している。
鉱工業・エネルギー省が所管する都市水道事業は次のように規定されている。
- 水の浄化処理施設の保有
- 水道管を通した清潔な水の供給
- また鉱工業・エネルギー省が担当する「都市区域」は次のように規定されている。
(ア) 人口密度が2,000人/㎢以上であること
(イ) 農業人口が50%未満であること
(ウ) 地域人口が2,000人を超えること
プノンペンでは1996年以降、プノンペン水道公社(Phnom Penh Water Supply Authority:PPWSA)が、シェムリアップではシェムリアップ水道公社(Siem Reap Water Supply Authority:SRWSA)が、それぞれ水を供給している。鉱工業・エネルギー省の水道部(Department of Potable Water Supply:DPWS)は、11の州都及び約60の中・小規模の地方都市に水を供給している。現在、MIME-DPWSの監督の下、約122の民間業者が商業ベースで飲料水の供給事業に参入している。一方、地方開発省の地方水道部(Department of Rural Water Supply:DRWS)と地方健康管理局(Department of Rural Health Care:DRHC)の2つの局が、1,000世帯以下の小規模な地方の町村への水の供給を所管している。
2008年の時点で、カンボジアの全世帯のうち36.2%(都市部では67.4%、農村部では29.4%)が自宅の敷地内で飲料水を入手することができる。カンボジア政府は、JICA、ADBや世銀等のドナーと協力して、安全な水へのアクセスの改善に取り組んできている。
通信
電話
カンボジアにおける電気通信分野の政策及び規制の策定を担当しているのは郵政・電気通信省(MPTC)はである。郵電省は電話の固定回線も運営していたが、電気通信部門を分離して、40.3百万米ドル相当の総資産と700名の従業員を擁する公企業“Telecom Cambodia”を2006年1月に設立し、市外局番「023」に関連するサービスを提供している。同社は、近い将来カンボジア証券取引所(CSE)に上場するようにカンボジア政府から指示されている。
2008年におけるカンボジアの電話普及率は、2005年当時に比べれば約5倍に上昇しているが、他方、固定回線の加入者の増加は緩やかである。2008年末における電話普及率は30.93であり、このうち30.61が携帯電話加入者である。換言すれば、電話加入者のうち、99%が携帯電話の利用者である。
カンボジアにおける固定電話回線のサービス業者はカミンテル(Camintel)、カムシン(Camshin)及びテレコム・カンボジア(Telecom Cambodia)の3社であるが、中でもTelecom Cambodiaは固定回線サービスについては最も有力であり、国際電話サービスも提供している。カンボジアでは現在、8社が携帯電話サービスを提供している。
インターネット
インターネットは、カナダのInternational Development Research Center(IDRC)の支援をうけた郵電省が1997年に導入し、現在はカムネット(CamNet)という名称でテレコム・カンボジアが運営している。
ドイツのKfWの支援を受けて1999年、光ファイバーが、タイからカンボジアのバッタンバン、プノンペン、バベットを経てベトナムまで敷設された。この他、2005年3月に「大メコン電気通信バックボーン・ネットワーク・プロジェクト(カンボジア成長回廊)」に関する融資がカンボジア政府とJBICの間で合意され、コンポンチャム、プノンペン、シハヌークビルを、全長400kmの光ファイバーで結ぶプロジェクトが開始された。
「GMS情報スーパーハイウェイ・プロジェクト」の一環として、カンボジア、中国、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイを結ぶ650kmに及ぶ光ファイバーケーブルの敷設が2009年7月に完了した。カンボジア国内では、シェムリアップからコンポンチャム及びメモットを経て、ラオス国境まで敷設されている。今回新たに敷設されたケーブルは、シェムリアップでベトナム国境からタイ国境を結ぶ既存のケーブルに接続された。現在、カンボジアの国土のうち約3分の2が、光ケーブルによってカバーされている。
2011年11月現在では、カムネット(Camnet)、オンライン(Online)、テレサーフ(TeleSurf:Cam GSM)、カミンテル(Camintel)、メットフォーン(Metfone)、シテイリンク(CityLink)、ウィカム(WiCam)、クリックネット(Clicnet)、イジイコム(Ezecom)など33社が認可を受け、インターネット・サービスを供給している、
2008年のインターネット契約者数は20,108であったが、2009年には291,413人に増加しており、2010年には35万人に増えたものと推定されている。郵電省は、2011年には40万人、2012年には45万人、2013年には50万人へと着実な増加を予想している。
郵便
2010年6月21日付け「公共企業体としてのカンボジア郵便の設立に関する政令57号」により「カンボジア郵便(Cambodia Post: C.P.)」が国営企業として発足した。同政令により、カンボジア郵便が郵便分野におけるサービス提供者に指名された。カンボジア郵便は次のような義務と権利を有する。
- 国の内外を問わず、EMS(Express Mail Service)を含む全ての種類の郵便物を受取り、収集し、輸送し、配達するサービスを行う
- 郵便と電気通信分野にサービスを提供するための、その他物品・製品の販売
- 郵便及び金融事業の運営
- カンボジアの内外で郵便サービスを提供するためのサービス料の設定
- カンボジア国内における郵便局の設置
- 郵便分野に資するための郵便切手販売機を使用する権利の取得
- 郵便事業を行うための国内外の企業や機関との協力
- 郵電省と経済財務省の許可に基づき、投資資金を調達するための借り入れ契約の締結
カンボジア郵便の当初の資本金は郵電省と経済財務省が決定し、職員は郵電省の職員から募集される。郵電省は現在郵便局を増設し、下表に示すように1局当りの利用者数を削減することを計画している。