カンボジアクロマーマガジンPP12号
前回、前々回の記事で、カンボジアにおける火災保険 (Fire insurance) のFire Tariff Ruleについてお伝えしてまいりましたが、2025年3月10日、カンボジア保険規制当局(Insurance Regulator of Cambodia: IRC)から、このFire Tariff Ruleの改正が発表されました(図1: Prakas*)。
1. Fire Tariff Ruleの適用対象となる保険金額がUSD 10 millionからUSD 50 millionまでに変更
この改正により、これまで保険金額がUSD 10 millionを超え、IAR insuranceでFree Rate(自由料率)を享受できていた企業等であっても、今後は保険金額が1ロケーションあたりUSD 50 millionまではFire Tariff Ruleで定められた保険料率を適用しなければならなくなるため、大幅な保険料の増額が懸念されます。
2. 消火器が割引対象から除外
設置されている消火設備が消火器のみの場合、従来の割引が適用されなくなるため、保険料が増額する懸念があります。
3. 基本補償の拡充
従来の基本補償は、火災、落雷、小規模爆発の3つでしたが、この3つに加え、地震や雹害、車両・動物の衝突、煙害、航空機関連損害、地滑り・地盤沈下による損害が新たに基本補償に含まれました。
その他、保険金額の幅に応じて自然災害時の補償金額の上限が設定される等、様々な変更があります。
この新しいFire Tariff Ruleは2025年7月から施行されるため、保険のご更新や来年度の予算立案を控えていらっしゃる場合は、お早めに保険会社へご相談されることをお勧めいたします。
*注)今回発表されたPrakasは、実際には180ページあります。
濱口 有知子
バンコク・インシュランス(カンボジア)
三井住友海上が直接出資している、カンボジアで唯一日系の資本が入った損害保険会社。
TEL: 088-788-6610
Mail: ayano@bkicambodia.com
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