ホーム 新マガジン記事 クソ真面目とパープリンのクメール飯考: 005 クメール人はなぜ、水上でも暮らせるのか?

カンボジアクロマーマガジン9号

あずさ 朝も魚、昼も魚。そしてこの調子だと、たぶん夜も魚……。ここはトンレサップ湖流域の水上集落だし、おかずは魚がメインなのはわかる。もちろんおいしいけど、こう毎日、揚げた魚とごはんだけの食事は飽きるよ。そして、今私は、たったひとつだけ、ものすご〜く気になることがある。目の前にある、やたらぷっくりとした身はまさか、淡水フグじゃない ここは下関じゃなく、カンボジアだよね?そしてカンボジアのフグにも、恐らく毒はあるような気がするが、そのへんは大丈夫なのかしら??。

さっきこれを釣った人に聞いてみたんだけれど、目の黒いフグは毒がなくて、赤いのは食べちゃダメなんだって。でも毎年何人かは中毒になっているらしいよ、はっはっは」。

あずさ …ねえ、あなた先にお食べよ。遠慮せずに。私はお腹が減っていないから…。

あずちゃん、なんか日本の戦時中っぽい清貧な断り方だけど、つまり毒味をしてほしいんだね。ところで、こうした湖上に連なる集落では、毎日の釣りや漁が豊かな食生活を叶えているんだよ。1本釣りで今日みたいなフグが獲れることもあるし、家の定置網には、フナやニゴイ、たまにウナギがかかる。万が一、自分の家で釣れなくても集落のどこかで買えるから、魚には困らないし、その食べ方が非常に多彩なんだ。揚げ物や焼き物、煮物みたいな基本的な料理はもちろん、塩蔵や干物、魚醤といった保存食品とそのアレンジは、世界に類を見ないものがあると思うよ。

あずさ あっ!けんちゃん見て、むこうに馬がいる。首まで水に浸かって水浴びをしているよ。なんだかリラックスしているようだけれど、子供が馬にまたがって遊んでいるからちょっと困ってる雰囲気も見てとれる!でも、馬が近所でに水浴びをできる住環境は素敵だね。水上集落のフローティングハウスは雨季で水位が上がったり、台風がくれば家が流されるリスクもあると思うんだけれど、それを受け入れながら柔軟に家を作っているのが格好いいと思う。

 フローティングハウスはよくできているんだよ。まず、竹の束を四角に結んで、その真ん中にドラム缶を固定し、筏のような浮子を作る。その上に、薄い木版やトタンなど、軽い建材で住まいを建てるんだ。その家を川沿いの杭に太くて長いロープで固定し、雨季には浅瀬に、乾季になると深場に家を浮かべ、快適に暮らしているんだよ。

あずさ 河川と一緒に暮らす土地ならではの知恵だね。ところでけんちゃん、揚げたての美味しそうなフグをどうぞ。まずはけんちゃんが食べてみて、3時間たったら私もいただくから。本当に、遠慮しなくていいんだからね。

 

 

著者紹介

園 健 Sono Ken

クソ真面目。写真家、料理家として活動。94年からインドシナ半島で旧フランス植民地の生活様式を主題に撮影に取り組む。

 

田中 あずさ Tanaka Azusa

パープリン。コピーライター、料理家、フードスタイリストとして活動。インドシナ家庭料理を研究し、広告などで食のコンテンツを制作。


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