ホーム 新マガジン記事 クソ真面目とパープリンのクメール飯考: 004 クメール人はなぜそんなに、魚を発酵させるのか?

カンボジアクロマーマガジン8号

 ねえ。僕は日本でもカンボジアでもさんざん魚釣りをしてきたけれど、そろそろ引退しようと思うんだ。特に日本は魚を獲り過ぎているよ。食べるのに必要な量以外の魚を乱獲して、無理矢理加工品にして売ったり、ひどい時には捨てたりするなんて魚がかわいそうすぎる(涙)。具体的には、こんど奄美大島の喜界島へ行って、75センチのカスミアジを4匹釣ったら、もう釣りはやめる。

あずさ ああ、わかるわかるその気持ち。ウチの母がパチンコに狂っていたときに『あと1回当たったらやめる。これを回収したらもう足を洗う』って何百回と言いながら通って、スってたもの。

 あずちゃんのバカ!パチンコと魚釣りを一緒にするなんてバカバカバカ!!!どっか行け!」

あずさ ……そういえば、カンボジア人ってものすごい量の淡水魚を収獲しているけれど、無駄にならないのかしらね?ほら、こないだもトンレサップ流域の漁民たちが、でかい船いっぱいに魚を獲っていたでしょう。さすがに喰いきれないと思わない?。

 そうだねえ。カンボジアの淡水魚は、魚を煮たり焼いたりしてそのまま食べることもあるけれど、むしろ魚醤(トゥック・トレイ)や、発酵魚(プラホック)といった日常的に使う調味料の原料になる量のほうが多いんじゃないかな。日本のように、刺身の文化がないし、獲った魚は保存のきく形で無駄なく活用されているのは、いいことだね。

あずさ プラホックって美味いよね。ガールズバーに行ってもさ、ヌンバンパテを持っていっても誰も見向きしないのに、プラホックを持っていくとあっという間になくなるもんねえ。

 カンボジアの料理は、日本で紹介されるとどうしても作りやすいもの、例えば牛ルックラックなど炒め物やアモック、クイティユなどに集約されてしまうけれど、彼らの食生活の真骨頂は発酵魚の活用にあると思うよ。インドシナの料理に限らず、世界の料理は現地の調味料を解いていくと、より深く広くわかるかもしれないね。

あずさ そういえば、こないだガールズバーのお姉さんが『マヨネーズ最高』って言ってたよ。マヨネーズかけると何でも美味くなるからおすすめだって。わかる〜〜。

 あずちゃん、今までの話、全部聞いていなかったんだね……。

 

 

著者紹介

園 健 Sono Ken

クソ真面目。写真家、料理家として活動。94年からインドシナ半島で旧フランス植民地の生活様式を主題に撮影に取り組む。

 

田中 あずさ Tanaka Azusa

パープリン。コピーライター、料理家、フードスタイリストとして活動。インドシナ家庭料理を研究し、広告などで食のコンテンツを制作。


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