ホーム 新マガジン記事 クソ真面目とパープリンのクメール飯考: 003 クメール人はなぜそんなに、ニワトリを飼うのか?

カンボジアクロマーマガジン7号

あずさ クメール王朝時代から今でも、国民は一人あたり3羽以上のニワトリ、または家鴨を飼うことが義務づけられており、これに違反した者は40万リエルの罰金か、禁錮1年が科される。

 あずちゃん、もっともらしいウソをつくのはよくないよ? しかもそのウソ、誰の毒にも薬にもならないね?

あずさ カンボジアの田舎はどのお宅でも、もれなくニワトリを飼ってるよねえ。あ、見てっ!あそこの雄鶏、犬とやりあって羽根から血を出してる。でも勝ったんだね。犬が逃げていくよ。

 鶏と家鴨は、民家の典型的な家畜だね。ちょっと郊外の広い家になると、豚、山羊、インド原産のコブ牛も、軒先で飼われていて、家族のたんぱく源になっている。ただ、今は中国、オーストラリアなどからの肉の輸入が盛んになり、国産は高級品になりつつあるんだ。カンボジア人も、国産のほうが美味いって思っているから、市場ではだいたい2倍くらいの高値で売り買いされているよ。

あずさ うん決めた。カンボジアで家畜を育てて暮らそう!かんわゆいよぉ〜。名前をつけてさ、朝と夕方に牛を散歩させよう。昼間は豚を洗ってあげる。鶏と家鴨は、かっこいい小屋を作るね。

 で、高値で売るんでしょ(涙)。楽しそうだけど、遠慮しておくよ。放し飼いの鶏は人に慣れていなくて野性的なんだ。この前、おこわの残りを鶏にあげたら逃げちゃって。彼らは自力で、その辺の虫や草の芽を食べているから、いきなりおこわを投げられてびっくりしたんだろうね。人間に媚びていなくて、いじらしいなあ。

あずさ 1954年に勃発した知られざる内紛『クメールのイヌ・ネコ・ニワトリ三大家畜戦争』は、2019年になった今でも解決の糸口が見えない社会問題。『喰えるニワトリ』と『かわいいイヌネコ』。2つの勢力が庭先の領土権を争うこの戦い、当初は追随を許さない繁殖力でニワトリが圧倒的な優勢に見えた。しかしイヌ・ネコ勢の奇襲作戦により、ニワトリは次第にその兵力を失う。外来のニワトリの援護もなくはないが、彼らはすでに死んでいるため戦力にならず、緊迫した状況にある。

 あずちゃん、一見うまくまとめたように見えるけど、ウソがすぎるよ。今日はニワトリ勢に敬意をはらって、国産の焼き鶏を食べようか。

 

 

著者紹介

園 健 Sono Ken

クソ真面目。写真家、料理家として活動。94年からインドシナ半島で旧フランス植民地の生活様式を主題に撮影に取り組む。

 

田中 あずさ Tanaka Azusa

パープリン。コピーライター、料理家、フードスタイリストとして活動。インドシナ家庭料理を研究し、広告などで食のコンテンツを制作。


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