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カンボジアクロマーマガジン3号

なんかいいとこ、バッタンバン

[取材・文] 多賀史文 [写真] 多賀史文  [制作] 多賀史文

バッタンバンのアートについて

国内外で同州出身のクリエイターが故郷に誇りをもって活動しているよ

今、バッタンバンのアートが面白いと聞いた。実際に行って見ると、コロニアル建築並ぶ街のあちこちでアートを見かける。どうもこの地域の歴史や風土に関係がありそうだ。今回は当地で活動を行っているアーティスト夫妻に、なぜバッタンバンのアートシーンが発展したのかを尋ねてみた。

(左)コラープさん Ms.Kolab   アートシーンで活躍する数少ない女流作家で、絵画の他絵本や映像作品などを手掛ける。
(右)チュンリーさん Mr.Chhunly   絵画の他、アニメーションや映像などデジタルアートを手掛けている若手アーティスト。

 

バッタンバンにはアーティストが多くいますが、それはなぜでしょう?

チュンリー 地盤として、バッタンバンが国内でも比較的豊かな地域だからということがあるだろうね。農業で生計が立ち、その傍らで学問や宗教、芸術などの文化が育まれました。今でも多くの学校や寺院が市内にひしめいているよ。

コラープ 歴史的な背景もあるでしょうね。クメール王朝、タイ領時代を経て文化都市としての地盤を築き、その後フランス植民地時代に多くの西洋的文化が持ち込まれ、バッタンバンの人たちの気質が育まれた。カンボジア独立後の60年代から70年代にかけては多くの詩人や歌手を輩出し、カンボジアのアートシーンを盛り上げたの。ただ、残念ながらその流れはカンボジア内戦で途絶えてしまったけど。

チュンリー 現在のバッタンバンのアートシーンが他の地域に比べ発展しているのは、90年代からこの地で活動している「ファー・ポンルー・セルパク」の活動が大きいと思う。芸術の復興を信念としたカンボジア人講師が、絵画や音楽、パフォーマンス、最近ではデジタルアートなんかを教えているんだ。

ファーの取り組みをもう少し教えてください。

チュンリー 先ずファーの良いところは、やる気があれば学歴や年齢を問わず、だれでも無償で芸術を学ぶチャンスを与えている事だね。授業料を払わなくては行けなかったり、学歴を問われると、どんなに才能があっても、「今」という機会を逃してしまうから。僕たちもここの卒業生で、芸術を身に着けたことで、その後フランス留学できたし、今こうしてクリエイティブな仕事に就くことも出来たってわけ。そうじゃなかったら、今頃タイに出稼ぎに行ってるだろうね。

コラープ それから彼らは創造的芸術を教えてくれる。国内に芸術に関わる仕事をしている人は多いけど、いわゆる複製を作る職人が大多数で、新しい芸術を生み出せる人はごく一握り。最近バッタンバンのアートシーンが外国人に注目されるようになったのもそれのおかげだと思う。

どこに行けばバッタンバンのアートに出会えますか?

チュンリー 先ずは市内にあるギャラリーを覗いてみると良いね。若手画家の共同ギャラリーや、国内外で活躍している画家のギャラリーショップなどがある。面白いのは皆カンボジアをテーマにしている事。カンボジアを表現したモダンアートに出会えるのはバッタンバンの魅力だよね。

コラープ 絵画は市内だけでなく、プノンペンやシェムリアップのホテルなどで、展示されていることもあるわ。パフォーマンスはバッタンバンのスクールで週4回講演しているし、シェムリアップでは毎日講演している。またファインアートだけじゃなく、デザインや写真、映像、建築などの分野でバッタンバン出身のクリエイターが多くいて、皆故郷のことを誇りに思って活動しているの。

 

(左)中堅アーティストたちの作品を展示している共同ギャラリーSangker。市内中心にあって足も運びやすい。
(左中)優しいタッチでバッタンバンやカンボジアの風景を描く、Loeum氏の作品を展示しているギャラリーTep Kao Solは必見。
(右中)バッタンバン市内でも最も展示数の多いギャラリーROMCHEIK5。若手アーティスト達の自由な表現が見物。
(右)Phareで講演している若手パフォーマーの力強い演技は、バッタンバンの夜のアクテビティのハイライトと言えるだろう。

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