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カンボジアクロマーマガジン3号

なんかいいとこ、バッタンバン

[取材・文] 多賀史文 [写真] 多賀史文  [制作] 多賀史文

バッタンバンの農業について

日々、土と汗にまみれながら一歩一歩着実に進歩しています

(右)学長さん Emtotimm Rector   国内やバッタンバンに関する歴史研究を行っている、バッタンバン大学の学長で歴史学者。
(左)亀田さん Mr.Kameda   SATREP案件プロジェクトとしてキャッサバの生産システムと開発と普及を行う日本人科学者。

国内でも最も農業が盛んな地帯であるバッタンバン。何故バッタンバンの農業が盛んなのか。今どんな農業がおこなわれているのか。国内やバッタンバンの歴史に詳しいバッタンバン大学の学長さんと、日本の支援で同州にてキャッサバ栽培の研究指導を行っている日本人にお話を伺ってみた。

 

バッタンバンは国内でも最も農業の盛んな地域ですがなぜでしょう?

亀田 まず土壌という観点から見ると、他の地域と比較して突出して土が良い。バッタンバン州は熱帯でありながら、褐色水成土壌という有機物を多く含んだ土壌の土地が多く、植物の生育には適した場所というわけなんです。

学長 バッタンバンの農業都市としての発展はアンコール王朝期に遡ります。古の人びとも、トンレサップ湖の対岸に豊かな土壌があることに気が付いたのでしょうね。その頃に建てられた寺院が今も散在しています。
 その後アンコール王朝が衰退すると、長い間シャムの領地となって開墾が進みました。現在の街並みは、その後のフランス植民地期に建設されたものですね。彼らはこの地でコメとトウモロコシ、緑豆などのプランテーションを行って、その時に鉄道などのインフラも整備しました。

現在のバッタンバンではどのような農業が行われていますか?

学長 まず主要な作物ですが、多いものから順にコメ、キャッサバ、トウモロコシ、緑豆などの穀物ですね。水の確保が容易な地域ではコメ、タイ国境の方の水の少ない丘陵地帯ではキャッサバやトウモロコシといった感じで分布しています。

亀田 特にキャッサバについては近年伸びている作物ですね。主にバイオエタノールの原料として輸出される換金作物です。この大学でもウイルスフリー苗の培養をやっているし、農業試験場でも畝幅と株幅などの研究を行っています。今後も同州が、国内のキャッサバ産業の先駆者となっていくでしょう。
学長 果物ですと、クローイポーサットと呼ばれる柑橘や、ドリアン、ロンガン、ライチなどが良く生産されています。バナナやマンゴーなどは国内どこでも生産されているものですが、バッタンバンのものは香りも良く糖度の高いものが多いですよ。是非日本の皆さんにも食べてもらいたいですね。

 

今後バッタンバンの農業はどのような方向を目指しているのでしょうか?

亀田 残念ながら現代農業は、利益が加工や流通側に流れてしまって、生産者が儲からないケースが散見されます。バッタンバンもまさにその状況で、良い物を作っているのになかなか儲からない。その中で、近年では加工品を作る生産者が現れてきており、今後このような動きが広がって行くことでしょう。また若い世代がITを活用し、加工や流通まで一貫した、より高い次元の農業へと発展していくことを期待しています。

学長 そうですね。当校の学生たちも農産物の生産から、初歩的ですが食品加工までを学ぶようになりました。今バッタンバンの農業は日本のような国から丁寧な支援を受け、技術研究や人材育成が進んでいます。我々は今後この地域が国内外から信頼を得て、農業従事者が誇りと喜びを持って働けるような農業を目指して、日々、土と汗にまみれながら、一歩一歩着実に進歩しています。

 

(左)バッタンバン大学管轄の農業試験場にあるキャッサバハウスは、日本国支援の施設。自動制御環境下で試験が行われている。
(左中)キャッサバは挿木で生育するが、何代も経つとウイルスに感染して収量が下がる。その為大学ではウィルスフリー苗を培養している。
(右中)灌漑や機械化の進んだバッタンバンは緑の平野が続いている。米は多いところでは年に3回も収穫できる。
(右)バッタンバン名産のクローイポーサット。さわやかな酸味と香りが気持ちよく、ジュースにして飲むと美味しい。

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