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カンボジアクロマーマガジン31号

人生迷走中
第13回:見て楽しむためのヘルメット
クーロン黒沢(くーろん・くろさわ)

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 バイク乗車時のヘルメット着用がカンボジアで義務付けられたのは、確か2009年ごろ。
 昨年、その罰則が一層強化され、贔屓目にも小学生にしか見えない子供がバイクを乗り回したり、子沢山家族が一家総出で一台のミニバイクにまたがったりといった行為は、一応法律で禁止される運びとなった。まあ、今もよく見かけるが……。
 そしてついに、これまでノーヘルでもお咎め無しだった同乗者のメット着用が義務化され、バイクタクシーにおいても厳しく適用されることに!
 一日何度も交通事故を目撃する日が珍しくないプノンペン。メット着用の厳格化は当然というか遅すぎるくらいだが、バイク乗りなら誰でも知ってるある事実。ヘルメットって意外と高いんですよね。
 仮に日本で「まともな」ヘルメットを買えば軽く一万〜二万円。カンボジア感覚では月収を軽く上回る超高級品である。
 もちろん、カンボジア人のほとんどは、そんな高級メットがあることすら知らない。なぜなら路端で売られているヘルメットのほぼ100%がタイ製の安物。日本の某有名ブランドと露骨にそっくりなメーカーロゴのついたそれらは、胸騒ぎするほど安いのである。
 近頃、日本のオークションサイトでも激安のタイ製ヘルメットが出品されている──ようだが、日本製メットでお約束の【PSC】【SG】といった安全基準シールの無いそれらは(今のところ黙認状態だけど)着用してもノーヘルと見なされ、事故った際の保証はないし、保険など事故処理もややこしい。
 このように安全上無意味なヘルメットをなぜ(カンボジアならまだしも)日本国内で堂々と販売できるのか? 宣伝を見てびっくり。「装飾品」「観賞用」などと記されている。なんと、使うのではなく見て楽しむ用。つまりカンボジアの皆さんは、日本で言うところの「観賞用ヘルメット」を着用していたのか!
 日本で買ってもびっくりするほど安いけど、カンボジアでは同じものが更にその数分の一。千円札を出したら数百円お釣りが貰える超激安プライスで叩き売りされている。
 ところが、そんな「観賞用」すら買えない人がいるようで、市内では監視員付きの有料駐輪場でもヘルメットの盗難が多発。
 我々の価値観ではちょっと信じられない、シールドが曇りまくったボロボロのメットすら立派な盗難対象。レンタルバイクをご利用の皆さんはそのつもりで。
 メットインタイプのバイクを借りるか、ヘルメットは常時脇に抱えて持ち歩くか、監視員に金を払い別途預かってもらうか、いずれにしても充分ご注意頂きたい。以上、過去にメットを二つも盗られた私からの忠告だ!

 

※「人生迷走中」は奇数号掲載となります。


クーロン黒沢(くーろん・くろさわ)

プノンペンの土を踏んで早十うん年。
著書に「裏アジア紀行(幻冬舎)」「エネマグラ教典(太田出版)」「乱世のサバイバル教典(太田出版)」「デジタル・スーパースター列伝(ILM)」など。生活のため、日々冒険を続けてます。新刊「アジアの路地裏に魔界を見た!」ほか、アマゾン・キンドル専用の海外脱出情報誌「シックスサマナ」発売中。
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