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カンボジアクロマーマガジン18号

~淡水魚のある暮らし~クメール食探訪

[取材・文・写真・制作] 徳成 和子、西村 清志郎(クロマーマガジン編集部) マレーシアフリーペーパー「セニョ~ム」2010年3月号より一部改訂

一日の始まりは市場から

カンボジアの朝は早い。午前3時にはトンレサップ湖の漁港にライトが灯り、大小さまざまな舟が集まってくる。その光を頼りに魚業者も訪れ、ヘッドランプの下、活気ある取引が始まる。新鮮な大魚はすぐに売り切れ、日が昇り始める頃にはピチピチと跳ねる小魚がわずかに残るだけとなる。

vol18_sub_03-01           魚市場は早朝2時頃から漁師が水揚げを開始し、3時頃から業者が集まってくる

 日が昇ると、喧騒の場はプサー(市場)へと移る。雑然とした空間に、千を超す小さな店舗が軒を連ねる。軒に入りそこなった者、営業許可を持たない者は近くの一般生活道にまで店を広げ、さらに賑やかさを増す。
 朝どりの野菜、解体されたばかりの牛や豚はもちろん、元気に跳ねている雷魚やナマズ、卵を抱えた亀、しっかりと熟成させたプロホック、魚の燻製など、「トンレサップ湖の幸」であふれている。

vol18_sub_03-02           トンレサップ湖で捕れた魚。白身の淡水魚は、そのまま調理すると少し泥臭さが残るが、

           香草や調味料を使うことにより臭いは薄らぐ

vol18_sub_03-03           カンボジアの伝統的調味料「プロホック」などが、

           大きなたらいに山盛りにされて売られている。発酵させた魚の臭いは強烈

vol18_sub_03-04            トンレサップ湖から水揚げされた魚の中には、

             オオナマズやゴリ、ウナギなどの他に、フグやエイなどの姿を見ることもある

淡水魚の多彩な調理法

カンボジア人の食生活に欠かせないものといえば「プロホック(小魚を塩漬けにして数カ月発酵させたもの)」である。これは日本の味噌のように、調味料としてスープや卵焼き、炒め物など様々な料理に使い、どこの一般家庭でも一品はプロホックを調味したものが食卓に並ぶ。
 具材として利用されるのはマム(小魚を炒り米とヤシ砂糖ともに塩漬けにして二週間程度発酵させたもの)、トレイプライ(マムとほぼ同じだが、ヤシ砂糖を入れず辛さを強めたもの)、プオーク(小魚を炒り米ともち米とともに二週間程度発酵させたもの)があり、こちらもプロホック同様、様々な食材とともに調理したり、生野菜につけて食べたりする。

vol18_sub_04-01           プロホックと豚肉、香草を煮込んだ一品

vol18_sub_04-02           ロホック製造風景

 食材としてはトレイギアッ(干し魚に、砂糖や塩、味の素等をまぶしたもの)がある。魚の種類により塩気と甘さを調整しているので、特別な味付けは必要ない。またトレイチャー(魚の燻製)は日持ちがよく、加工しなくても食べられることから魚が獲れない地域の人々に好まれる。
 忘れてならないのが液体調味料として人気の魚醤、タックトレイ(ナンプラー)である。これは日本の醤油と同様に、多くの食卓で日々使用されている。vol18_sub_04-03

           [左上]調味料としてタックトレイや瓶詰めされたプロホックが売られている。使う魚により味も値段も異なる

           [右下]トレイギアッを干しながら売る屋台

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