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ホーム マガジン カンボジア経済: 19回目:カンボジアの労働市場

カンボジアクロマーマガジン29号

 アジア各国の賃金が昨年から今年にかけて大幅に上昇しています。
 中国は、最低賃金が場所により異なりますが、広東省深セン市の最低賃金は月1500元(約240ドル)となっています。更に2015年まで中国は毎年、全ての地域の最低賃金を13%以上上昇させる計画を採用しています。
 インドネシアの主要都市でも、最低賃金が上昇しています。2013年1月には、ジャカルタでは前年比44%増の月220万ルピア(約230ドル)へと急上昇しています。工業団地が多い西ジャワ州でもボゴール県が前年比で7割強上がったほか、トヨタ自動車などが主力工場を置くカラワン県でも6割近く上昇しています。
 タイではインラック政権が2012年4月、バンコクなど7都県の最低賃金を1日300バーツ(約10ドル)に改定しました。残る70県も2013年から一律300バーツに引き上げられており、2012年3月末と比べると4~9割の上昇となります。
 ベトナム政府も一般労働者の最低賃金について、日系企業が集積するハノイやホーチミンでは2013年1月のから月270万ドン(約130ドル)へと35%上昇しています。
 マレーシアでは最低賃金制度を2013年1月に初めて導入しました。マレー半島で月額900リンギ(約300ドル)となっています。
 
 こうした中で、カンボジア政府は、縫製業等に適用される最低賃金を、これまでの61ドル/月から今年5月に75ドルに引き上げました。政府案の73ドルに、フン・セン首相が鶴の一声で2ドル積み増したと報道されています。これまでの健康手当(5ドル)も支給が必要なため、最低賃金は80ドルとなります。
 最低賃金は2010年10月1日に61ドルに改訂され、次の改訂は2014年の予定でしたが、今年夏の選挙を睨んで、早めの改訂に動いたものと見られます。最低賃金だけを見ると2年8か月で、31.1%の賃上げとなり、1年あたり11.5%の上昇となります。なお、最低賃金に加えて様々な法定手当の支給も必要となります。
 上述の中国、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー等の周辺国での大幅な賃上げに比べると、今回のカンボジアの上昇率は低めであり、アセアン域内でのカンボジアの低賃金の魅力は当分揺るがないものと見られます。

 マクロ的にみると、カンボジアでは若年人口が多く、毎年30万人程度の若者が次々に労働市場に参入してくる一方、第2次産業の従事者数は50万人程度のため、非熟練労働者については、すぐに不足となる状況にはないと見られています。その一方で、農村部に相当の労働力が滞留していることもあり、進出企業にとって人手を確保することが重要な課題となりつつあります。
日系企業でも労働者の確保に様々な努力がなされています。プノンペン経済特区のミネベアや住友電装の工場等では、日本企業ならではの従業員向けの福利厚生に力を入れられています。このような努力が日系企業の信頼度を高めるとともに、労働者の待遇改善にもつながることが期待されます。

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プノンペン近郊の縫製工場で働く工員さんたち


鈴木 博(すずき ひろし)

2010年にカンボジア総合研究所を設立。
2007年からカンボジアに住んでいます。
ブログ「カンボジア経済」もご覧ください。
ブログ: http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh

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