ホーム 過去のマガジン記事 カンボジア経済: 16回目:カンボジアのサービス産業に進出する日系企業

カンボジアクロマーマガジン26号

 カンボジアへの日系企業の投資というと、工場を建設して様々な製品を製造する形がまずは頭に浮かびます。しかし、最近は、カンボジアを市場と見て進出される日系企業も増えてきています。特に2012年には、小売業、飲食業、美容、医療等のサービス業への進出が目を惹きました。

1.小売業
 話題となっているのは、イオングループの進出です。イオンモールは、2012年12月に着工し、2014年上期にプノンペン中心部にイオンショッピングセンターを開店する予定です。イオンのブランドであるトップバリュブランドの商品を販売するアンテナショップも2012年12月に開店しています。
 
2.飲食業
  カンボジアは、タイ・バンコクとベトナム・ホーチミンに挟まれた好立地にありますので、この南部経済回廊を一体の商圏と見ることもできます。ベトナム・ホーチミンで成功された和食店が2012年に相次いで開店しました。「ザ・スシバー」は、ホーチミンで5店舗を展開している和食店ですが、刺身やすしといった和食をリーズナブルな価格で提供しており、プノンペンでも大変な人気を集めています。「浦江亭」は、大阪に本店のある焼肉屋さんですが、ホーチミンで成功されて、プノンペンにも進出されました。こちらも美味しい焼肉をリーズナブルな価格で出されており、大人気です。
 また、プノンペンでのカフェの開業も続きました。「クロスタウンカフェ」は、日本のカレーを売り物にしたカフェで、多くの日本人客を集めています。「キリヤ」は、クラウドファイナンス等の新手法も活用しており、大規模な展開をこれから行う計画です。「グリーン・ボウル」は、手打ちうどんを売り物にしています。
 これらの飲食店は、その多くが若い日本人の方々によって経営・運営されています。「いまどきの若い者」の正反対を行くような元気でやる気のある方々です。

3.美容
 日本のソフトパワーの一つが美容関係だと言われます。美容院の「デ・グラン」や「ティーダ・サロン」では、日本人の美容師さんたちが最高級のサービスを提供しています。「イル・ブリル」では、日本人エステシャンが常駐されています。「美・ネイル」は、日本の高い技術を導入したネイルサロンです。日本のおもてなしの心は、海外でも競争力のある重要な要素です。

4.医療
 2012年は、医療関係の進出も盛んでした。北原国際病院は、プノンペンに「北原ジャパンクリニック」を開業されました。更に数年後には、本格的な救急救命センターを建設、開業される計画です。
 歯医者さんの開業も相次ぎました。「森デンタルクリニック」「マリスデンタルクリニック」「シゲタ歯科」は、いずれも日本人の歯医者さんが開業されたもので、高品質な医療サービスを日本と比べるとリーズナブルな価格で提供されています。

 カンボジアでは、日系企業による様々な業種・業態の進出が目白押しです。カンボジア経済の発展と日系企業とのWin-Winの関係がますます強まってきていると感じます。

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イオンのトップバリュショップ。安くて安心な製品が並んでいます


鈴木 博(すずき ひろし)

2010年にカンボジア総合研究所を設立。
2007年からカンボジアに住んでいます。
ブログ「カンボジア経済」もご覧ください。
ブログ: http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh

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