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ホーム マガジン カンボジア経済: 第34回:日本カンボジア投資協定 日本からの投資に大きな役割

カンボジアクロマーマガジン44号

日本カンボジア投資協定(投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定)は、2007年6月14日に、東京でフン・セン首相と安倍首相により署名され、2008年7月31日に発効しました。

2016年3月に開催された官民合同会議。カンボジア政府、日本政府・商工会等から多数が参加した

2016年3月に開催された官民合同会議。カンボジア政府、日本政府・商工会等から多数が参加した

 

 日本カンボジア投資協定は、投資自由化、促進、保護のための基本ルール(内国民待遇、最恵国待遇、パフォーマンス要求の禁止、投資保護、紛争解決規程等)を規定しています。投資財産の保護に加え、自由化の観点からも質の高い内容となっている点が特徴です。カンボジアでは、投資法上の内外差別がほとんどなく(例外としては外国人の土地所有禁止等)、外資規制が相当程度自由化されているため、カンボジア側の留保事項は極めて限定的となっています。このため、日本カンボジア投資協定は、日本が過去に締結した投資協定や経済連携協定(EPA)と比べても、相手国側による投資の自由化度が高いものとなっていると評価されています。特に、他のFTA締結国も含める例外のない最恵国待遇の確保、恣意的措置の禁止等の公正衡平待遇を初めて明示的に規定したことを含め、最もレベルが高い投資協定と言われています。

 

 日本とカンボジアは、日本カンボジア投資協定に基づき、2009年8月11日の第1回から、概ね1年に2回の定期協議会(官民合同会議)を実施しています。2016年3月4日にカンボジア開発評議会で第13回官民合同会議が開催されました。


 会議では、カンボジアの投資環境を改善するために、日本企業が直面する問題について、政策・法律といった大きな課題から、事務手続きの改善といった個別の課題まで、幅広く取り上げられました。具体的には、電力の安定供給・料金引下、投資法改正、SEZ法制定等の投資基盤問題、労働運動、最低賃金や労働組合法等の労務問題、VAT還付や税務調査といった税務問題、税関業務やカムコントロール関係等の運輸関係問題等が取り上げられました。


 多数の問題があり、電力のようにすぐには解決できないものもありますが、個別の課題について一つ一つ地道に取り組んで解決していくことが重要と見られます。また、日本側も、問題を指摘するだけでなく、解決案を提示する等、カンボジア側と協力して対応する姿勢であり、この点はカンボジア側からも評価されています。

 

 日本カンボジア投資協定は、2010年からの日本からカンボジアへの投資急増の下地造りという大きな意義があったものと考えられます。また、投資協定に基づく官民合同会議による継続的な投資環境改善に向けた取り組みも大きな効果を上げていると見られます。カンボジアの経済成長にとって海外からの直接投資は重要な役割を果たしていることから、投資協定の締結等による投資環境改善が必要不可欠であり、カンボジア政府の地道な努力が期待されます。


鈴木 博(すずき ひろし)

2010年にカンボジア総合研究所を設立。
2007年からカンボジアに住んでいます。
ブログ「カンボジア経済」もご覧ください。
ブログ: http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh

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