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カンボジアクロマーマガジン7号

甦るカンボジアシルク -途絶えた伝統の復活-

<取材/文/写真:クロマーマガジン編集部> 参考文献:森本喜久男著『カンボジア絹絣の世界』(NHK出版)

いつの時代も女性を魅了してやまないシルク

東南アジアではタイシルクが有名だが、カンボジアのシルクが世界有数の技術を誇るレベルにある事はあまり知られていない。そんなカンボジアシルクが今注目を集めている。

シルクの生産は紀元前3000年とも5000頃前とも言われる前から中国で始まっていたと言われ、養蚕、絹の製法を築いたのが中国とされる。古くからシルクは中国から陸路、海路によってインド、ペルシャ方面に輸出されていた。これがシルクロードの始まりである。

かつてカンボジアはシルクの中心地であった

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カンボジアシルクの歴史はというと、アンコール王朝頃ともそれ以前とも言われているが定かではない。だが、アンコール王朝時代には、王宮に、王様やその家族のために布を織る工房があったとされ、フランスの植民地時代には、カンボジアからヨーロッパに向け、シルクが輸出されていた記録もある。

 

現在、東南アジアでは、タイのジム・トンプソンが提唱するタイシルクが一般に知られているが、実はその30年以上も前に、カンボジアのシルクが中心地であったことはあまり知られていない。昔のカンボジアには、熱帯種の蚕から取れる黄色の生糸を使ったカンボジアの絹絣があったが、その当時のいい布は、タイやラオスの王族など、外国に売られ、国内にはほとんど残っていないと言う。それ故、昔インド、タイで売られていたものは、実はカンボジアで織られていた可能性があるとも言われているのだ。

 

織物の技術は代々母から子へと受け継がれ、その記憶の中でゆっくりと育まれてきたが、その後の約20年に及ぶ長い内戦によりその伝統は一時途絶えてしまった。しかし、戦後の平和の訪れと共に、その伝統織物の技術は、わずかに残った昔ながらの高度な技術を持ったおばあちゃんたちによって、少しずつ復興のきざしを見せている。現在では多くの国産シルク製品が出回るようになり、今後カンボジアの主要産業としても期待できそうだ。

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