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カンボジアクロマーマガジン39号

各国のフリーペーパー編集部がコラボしてお伝えするアジアン便り。今回は、各国のお葬式事情です。

インド  India

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プージャ(礼拝儀式)の様子

来世への出発点!

 

 

 「インドのお葬式」と聞くと、インドへ訪れた人は皆そろってヴァラナシのガンジス川の川岸にある火葬場を思い浮かべるでしょう。人口の約8割を占めるヒンドゥー教徒にとって、最大の聖地ヴァラナシで今世の終わりを向かえることは特別なこと。誰もが死んだらガンジス川に葬られることを願っているようです。日本の告別式によく似たお葬式を斎場で済ませたら、その足でガンジス川へ向かいます。火葬場のあるマニカルニカーガードには絶えず煙が立ち上がり、インド中から遺体が運ばれ、次々と燃やされています。輪廻転生を基本理念とするヒンドゥー教徒は、肉体は単に魂の入れ物にすぎないとみなされ魂が無くなった遺体は火葬されその遺骨をガンジス川に流します。

 聖なる川に流すことにより、罪も洗い流され苦しい輪廻を繰り返すことなく、悟りの境地に達すると考えられています。火葬費用は2500ルピーほど(約5,000円)。予算がない場合や、故人の存在をそのまま母なるガンジス川に返すのだという考えで水葬が行われる場合もあります。遺骨や遺体はそのまま流してしまうためヒンドゥー教徒にお墓や霊園はありません。そんな聖なるガンジス川にはいつも沐浴するため巡礼してくる信者や、サリーを洗濯する主婦達で賑わっており、火葬場のそばでは子供たちが元気いっぱい遊んでいる姿も見られます。生も死も日常と同化している聖地ヴァラナシ、そこを流れる母なるガンジス川はヒンドゥー教徒にとって、来世への出発点でもあるのかも知れません。

 

文:インド 月刊Chalo編集部 佐野なほ子

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ベトナム  Vietnam

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葬式は自宅で行われるが、不慮の事故で亡くなった魂は家に入れず葬式は
外で行われるらしい

葬式までも南北でパッキリ!

 ベトナムの北と南では、気候も人間性も異なるのは有名な話だが、「葬式」にも大きな違いがある。私が参列したのは、北部の農村で行われたおばあちゃんの葬式。親戚一同、白い布をまとい頭にはハチマキを巻き付けるが、これは、悲しみのあまり頭を打ちつけて怪我するのを防ぐ風習だという一説がある。長男宅での儀式が終わると、豪華な装飾を施した神輿で棺を担ぎ、泣き叫びながら集落を練り歩く。その様子を、カメラマンが容赦なく撮影するという謎の光景だ。墓場に到着し、村代表の男たちが掘った穴にいざ棺を入れるとなると、取り乱して穴に飛び込む人が続出。中には泣き崩れ失神する人もいた。ちなみにこれは仮の墓で、数年後に掘り起こして正式な墓へ。ベトナム語では「新しい家に引っ越す」と表現するのが、個人的にとても温かいと思う。

 一方、早朝から音楽がガンガン鳴り響くホーチミン市の旧暦元旦。さすが正月と感心していたら、なんと葬式だった。南部では死者を楽しく賑やかに天国へ送り出すのが鉄則で、ド派手なオネエ軍団を呼んで盛大に行う家庭もある。先日、ベトナム人の友人に「北部では泣き子を呼ぶんでしょ」と言われ、ハッとした。あの日の涙は、おばあちゃんに所縁がある人のガチな悲しみだったと信じたい。

 
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文:ベトナムスケッチ編集部 幸津桃子

 

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